ぢごぷり 1 (アフタヌーンKC)
木尾 士目
講談社
『げんしけん』で一気に人気作家になった木尾士目の新作です。
雑誌掲載時からさすがに話題にはなっていたようですが、
『げんしけん』から作者のマンガを読み始めた方には
なかなか衝撃的ではなかったかなぁと思います。
一方、『四年生』『五年生』から読んでいた方には、
むしろ『げんしけん』の方が違和感が大きく、
この作品はむしろ「らしさ」を感じるのではないかと思います。
その初期の作品は、絵柄も今とは全く異なるもので、
とにかく登場人物がよくしゃべるマンガでした。
『五年生』で見せた、単行本一冊かけてひたすら激論する
全裸のカップルというものは本当に衝撃的でした。
元々、絵ではなく、ひたすら文字で、しかも本人の言葉で
登場人物の心の動きを表現するのが作者の源流で、
実は『げんしけん』でもそう言うシーンはたくさん出てきます。
しかし、その題材と、今風の絵柄が先に出て、
そういう作者の本質が少し隠れていたのかも知れません。
今回の作品は、絵そのものは『げんしけん』同様今風の絵です。
18歳でおかあさんになってしまった双子の話。
ところが内容は子育ての負の部分というか、
それも初めて母親になった女性が精神的に葛藤する部分のみを
強調しているために、強烈な印象を残すでしょう。
どうやら賛否両論という感じですが、
逆に言えば、どちらにしてもしっかりと木尾ワールドに引き込まれた証拠。
木尾士目本来の、心に踏み込んでくる、心に踏み込んだ表現力、
それが存分に発揮されただけの、実にらしい作品だと思います。
しかし、前回はそれは「オタク」というある種マイノリティが題材で、
その立場にある人はオギーの苦しみなどは現実味があったのでしょうけど、
一般的な読者にはどこか、他人事、という安心感がありました。
今回は「子育て」という、極めてマジョリティな題材なだけに、
例え男性であってもとても他人事とは思えず、
もろに影響されてしまう、それだけの差かなと思います。
それはそれとして、ここまで赤ん坊がリアルに描かれた
子育てマンガは初めてです・・・初見でそれを受け入れられなければ、
この作品そのものを受け入れられないかと思います。
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